肩ってどこをさす?
肩凝りが全くない人はいないんじゃないかと思うほど、肩は日常的に負荷がかかっているエリアです。
なぜなら、構造的にバランスが崩れやすいところだからです。バランスが崩れやすいというのは、
言い換えれば、本来は、それだけ自由に動かすことができるところだとも言えます。
人間は、二足歩行になり、上肢がフリーになって、多くのことができるようになりました。
道具を使って獲物を獲得したり、作物をつくったり、手の自由度が上がるにつれ、脳も発達し、
言語を獲得したことで、人間らしい進化をしてきたのです。
その発展の延長線上で、現代では身体を使うよりも、手先、指先で行う動作が非常に増えました。
皮肉にも、今ではあまり身体を動かさなくても生活が困らなくなった代わりに、凝り感や身体を
支えるのが億劫になるなど、動かさない不調が増加してきているようです。
私は、よりよく生きていくためには、全身の筋肉がなるべく快適に動いている状態を
維持していくことが大事だと思っているので、今後も折に触れ、そんな内容のことを書いていくかと思います。
さて、ここで問題です。
みなさんは、「肩」はどこをさすと思われていますか?
解剖学的には、肩という部位はなく、鎖骨と肩甲骨が関わるエリアをさします。
上の図ではブルーの骨が鎖骨と肩甲骨です(前面の横に長いのが鎖骨、後面の一部見えているが肩甲骨)。
多くの人は、肩上部(思わず自分で肩こりの時に触りたくなるところ)が肩だと
思うのではないでしょうか?
肩上部は、肩のほんの一部で、ここだけほぐしても肩こりはまず解消しません。
身体の各動作時に働く筋肉の特徴として、必ず相反する二つの作用をする筋肉がセットになって動きが起こります。
例えば、一方が縮めば、一方が伸びるというような感じです。
凝りが慢性的に起こっている場合、このバランスが崩れてしまっていることになります。
すなわち、ずっと縮められている筋肉、ずっと伸ばされている筋肉、いつも働かされている
筋肉、いつもおさぼりしている筋肉などがあるということです。
先ほど申し上げたように肩に該当するエリアは、鎖骨、肩甲骨の動きについてくる筋肉群のエリアなので、
上半身のかなり広いエリアが関連してくるのがお判りでしょう。
また、首や上肢とのバランスも関わってくるので、肩こりの改善が一筋縄ではいかないのもお分かり
頂けると思います。
「肩凝りは治るのか?」よく聞かれます。
治るという概念が、きっと私たち施術者と、お客様とでは少々違うようにも思えますが、気にならない
様に維持していくのは十分可能です。
ただ、皆さんが思っている以上に肩のエリアは複雑ですし、きちんと使っていくのはなかなか
難しいということもご理解いただきたく思います。
そして、身体の使い方も十人十色、本当にいろんなパターンがあるのです。
長年マンツーマン施術を行ってきた強みとして、個人個人の問題点を丁寧にご説明しながら
施術を行っていると思います。
あなたにとっての改善点はどんな風でしょうか?