【前編】「知っておきたい医療のカタチ」〜保険診療と自由診療ってどう違う?〜
名古屋・伏見エリアの鍼・灸・指圧の治療院『Lighpe(ライペ)』です。
前回のブログでは、病院と鍼灸、上手に使い分けるポイントについてお話しました。
今回はもう少し踏み込んで、「保険診療と自由診療の違い」をテーマに、医療の受け方や鍼灸の上手な取り入れ方についてご紹介していきます。
「どこで・何を受けるか」を選ぶ視点を持つことで、ご自身やご家族の健康管理がぐっとラクになることもあります。
これからの“医療との付き合い方”を、やさしく一緒に見つめてみましょう。
「保険がきく・きかない」ってどういうこと?
病院で診察を受けたり、薬をもらったりするとき、「保険がきくから安心」と感じる方も多いと思います。一方で、美容皮膚科の施術や鍼灸・整体などでは「保険適用外です」と案内され、戸惑った経験があるかもしれません。
では、「保険がきく・きかない」はどのような基準で決まっているのでしょうか?
健康保険が使えるのは、病気やけがに対して“必要”と国が認めた治療に限られています。
たとえば、突発性難聴や骨折、椎間板ヘルニアなど、はっきりとした病名がつく症状やケガの治療には、保険が適用されることが多くなります。
保険診療では診療内容や薬の種類、通院回数などにルールが定められていることも特徴です。
特に整形外科に関する分野では、発症機序(いつ、何をきっかけにその症状が起こったのか)がはっきりしているものに限り、保険を適用するのが原則です。
そのため「腰が痛い」といったよくある症状でも、原因がはっきりしない慢性的な腰痛は、原則として保険の対象外となります。
現行の健康保険制度では、「明確な病名がないと保険診療が適用されない」しくみになっているため、医療現場ではなるべく保険の範囲で対応できるよう、「腰椎捻挫」「脊柱管狭窄症」「腰椎すべり症」などの診断名をつけて、治療を行っているのが実情です。
自由診療の鍼灸師から見ると、「この症状は果たしてその疾患名だろうか・・・」と疑わしく感じることもあるのですが、診断名をつけなければ治療が進まないという仕組みがそうさせているのだなと思います。
実際には、複数の原因が絡んだり、ピッタリはまらないグレーな症状も多々あります。逆にピッタリはまる症状の方は、保険診療で行っていくことで問題はないのですが、どうも改善が見込めないと感じた時は、全身調整の鍼灸もお勧めします。
この腰痛ひとつをとっても、筋肉や関節だけの問題ではなく、メンタル的なストレスが影響しているケースもあります。そういった場合には、局所だけでなく全身をゆるめていくことで、心身両面からの改善が見込めることもあります。
一方で、自由診療は保険の枠にとらわれず、体調管理や未病(病気になる前の不調)といった段階のケアにも対応しやすいのが特徴です。具体的には、以下のようなものがあります。
- 美容目的の治療(しみ取り、二重手術など)
- 健康維持・予防のケア(健康診断、人間ドックなど)
- 代替医療(鍼灸、整体、漢方などの一部)
- 科学的根拠がまだ十分とは言えない治療 など
自由診療は全額自己負担となりますが、その分「丁寧な施術」や「個々に合わせた対応」が受けられるというメリットがあります。

保険が使えるケースもあるけれど…
「鍼灸=自由診療」というイメージが強いかもしれませんが、健康保険が使える場合もあります。
ただ、対象となるのは限られた病気や症状で、施術の内容や回数にも制限があり、利用には医師の同意書が必要など、いくつかのルールがあります。
以下のような6つの症状に対しては、医師の同意書があれば保険が使えることがあります。
- 神経痛(たとえば坐骨神経痛など)
- リウマチ
- 首から腕にかけてのしびれや痛み(頚腕症候群)
- 五十肩
- 腰痛症
- むちうち(頸椎捻挫後遺症)
こうした保険診療の範囲内での施術で、十分に効果を感じる方には、保険を利用して鍼灸を取り入れる方法も選択肢のひとつです。
上記のような症状で、当院にご相談に来られる方も多いです。そうした場合でも、局所だけにとらわれず、全身の状態を見ながら、バランスを整えていくことで改善が期待できるケースも少なくありません。
当院では、保険のルールにとらわれることなく、お一人おひとりの体質や生活のリズムに合わせた施術を大切にしたいと考え、自由診療のみでご案内しています。
「病院では異常が見つからないけど、体がなんとなくつらい」
「最近疲れやすくて、休んでもなかなか回復しない」
そんなお悩みにも、心を込めて寄り添えるのは、自由診療ならではだと感じています。
そもそも鍼灸は、痛みのある部位だけにとらわれず、体全体のバランスを整えることで、不調の根本にアプローチする施術です。病気になる前に体調を整える「予防的なケア」も可能であり、”症状が出てから対処する保険診療”とは、そもそも目的や役割が異なります。
「保険がきく・きかない」という点だけでは、単純に比べるのは難しいということも、心に留めておいていただけたらと思います。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
少し難しい内容もあったかもしれませんが、この記事を通して、保険制度について少しでも知っていただけたら嬉しいです。
次回の【後編】では、保険がきかない自由診療ならではの鍼灸の魅力について、詳しくお話していきます。
どうぞ、楽しみにお待ちくださいね。