「有限の価値」と「整える意義」― 当院が大切にしている考え方
名古屋・伏見エリアの鍼・灸・指圧の治療院『Lighpe(ライペ)』です。
今回は、当院が大切にしている考え方、いわば「理念」のようなものについて、少しお話ししてみたいと思います。
施術に向き合うとき、どんなことを大事にしているのか。
その考え方に至った背景についても、少し触れてみたいと思います。
お付き合いいただけたら嬉しいです。
長年考え続けてきた「理念」
私は約8年前から、定期的に異業種勉強会に参加しています。
そこでは中小企業の経営者や個人事業主が集まり、交流はもちろん、それぞれの事業の社会的存在意義や経営理念について考える機会もあります。
理念というのは、自分たちの仕事がどんな意味を持っているのか、そして何を大事にしているのかを関わる方々に伝えるものです。
私が属している鍼灸のような業界は、どちらかというと職人気質の人が多く、理念を言葉として整理している人はあまり多くないように感じます。
私自身もそうでした。
これまでは、目の前のお客様と向き合うことに集中してきて、
自分の仕事の在り方をはっきりと言葉にすることは、あまりしてこなかったのです。
いざ理念を作ってみても、
「これが本当に自分の伝えたい言葉なのか」「何か違う気がする」
どこか腹落ちしない状態が何年も続き、私自身ずっとモヤモヤしていました。
「有限の価値」という言葉
そんな中で、自分の考え方の核に近いフレーズが浮かびました。
「有限の価値 整える意義」
この言葉は、普段から私が感じていることにつながっています。
日々の中で、医療のことや人の体について、ふと考えることがあるんです。
今の医療は本当に大きく進歩しています。
遺伝子操作や再生医療など、これまでできなかったことができるようになりました。
人は誰しも、少しでも良い状態でいたい、元気でいたいと願うものです。
その思いはとても自然で、大切なものですが、ふと「人間はどこまで進もうとしているのだろう」と
感じることもあるんです。
人の命や人生には、限りがあるのが事実です。
例えば花も、咲く時期があり、やがて枯れていく時期があります。
もちろん長く楽しむ工夫も素敵ですが、今まさに咲いている花の美しさもまた特別なものです。
人の人生も、それにどこか似ているのではないかと思うのです。
だからこそ、その「限り」の中でどう生きていくのか。その時間をどう整えていくのか。
そこに大切な価値があるのではないでしょうか。
こうした考え方を大事にしたいという思いが、「有限の価値」 という言葉につながりました。
鍼灸・指圧という施術と「整える意義」
もう一つ大切にしたいのは 「整える意義」 です。
人の体や人生には限りがあるからこそ、その時間をより良い状態で過ごしていくために、
体を整えること。それが鍼灸や指圧の大切な役割だと考えています。
私たちの体には本来、元気な状態を保つためにバランスを整えようとする働きがあります。
しかし、日々の生活やストレス、疲れなどによって、そのバランスが崩れてしまうことも
少なくありません。
そんなときに鍼灸や指圧は、体の巡りを整え、本来の働きが発揮されやすい状態へ整えるお手伝いをしています。
もちろん、鍼灸や指圧でできることには限りがあります。
昨今のテクノロジーにより、自律神経やホルモンバランスに関わる脳内物質の分泌や、
腸内環境との関係についての研究も進められています。
ただし、当院のような臨床現場で現代にあったデータ解析を積極的に取り入れていくことが非常に
有意義なことかというとその限りではありません。
データ提供は視覚的に見て頭で理解するので、身体の声を聞いて欲しいという私の思いとは少し
違ってきます。
姿勢でも、見た目は整っているように見えても、無理をしてその形を作っている場合もありますし、
体の中では別のバランスの崩れが起きていることもあります。
だからこそ当院では、患者さんとの対話や実際の体の状態を感じ取りながら、どのように
整えていくのかを一緒に考えるスタイルにしています。
そうした関わり方こそ、全身療法ならではの大切な部分なのではないかと思っています。
加えて、鍼灸や指圧で対応が難しい症状や不調については、他の医療分野の力も選択肢として
考えていただければと思います。
現代医療はとても細分化されていて、原因がはっきりしているものに対しては、検査やデータに
基づいた治療がとても有効な場面も多くあります。
一方で、鍼灸や指圧は体全体のバランスを整えることを特徴としており、それぞれの特性に応じて
取り入れていくことが大切だと考えています。
AI時代だからこそ感じること
少し余談になりますが、最近はAIが急速に広がっていますよね。
今回、この理念の言葉を整理する際にも、AIに少し手伝ってもらいました。
自分の思いを言葉にする上ではとても役立ちましたし、今はすぐに答えが得られる時代に
なってきていますね。
ただ、最初からAIに答えを求めてしまうのは、少しもったいないとも思います。
自分の中で悩み、掘り下げていく時間には意味があり、当院の理念も8年間考え続けてきたからこそ、
自分の言葉として出てきたものだと感じています。
以前、AIとの対話にハマっていたお客さんのお話を聞いたことがあります。
長時間対話を続ける中で、AIから「デジタル中毒だから、公園でぼーっとしなさい」と言われ実際に
試したものの、逆に疲れてしまったそうです。
これは、リラックスの方法は人それぞれで、自分にとって心地いいことは自分自身の感覚の中に
あるのだろうなと感じました。
同時に、人は外からの情報だけでは満たされないのかもしれません。
知識や情報が増える一方で、自分と向き合いながら考える時間も同じように大切なのではないか。
そんなことをふと考えたりもしています。
最終的に、当院の理念としてこちらの言葉を選びました。
「有限の価値 整える意義」
【人の体と人生には限りがある。 だからこそ、私達は過剰に踏み込まず、本来の力を整え、
生かすことを大切にします。】
これからも技術の進化が進むと 「もっと早く簡単に」といったものを求める流れは、
強くなっていくような気がします。
一方で、鍼灸のような施術は、どうしても時間がかかりますし、どちらかというと地味なものです。
時代に合わせて、当院も柔軟に変化しながらも、
体が本来持っている力を整えていくという考え方は、大事にしていきたいです。
少し長くなりましたが、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。