“何もない今”こそ大切。鍼灸院が伝えたい不調予防の考え方
名古屋・伏見エリアの鍼・灸・指圧の治療院『Lighpe(ライペ)』です。
日頃から私は「できれば不調が出る前に予防してほしいな」と思っているのですが、
予防の大切さをうまく伝えるのは難しい、というのが正直なところです。
というのも、予防って、どうしても“未来の話”になるので、今困っていないと自分ごととして考えるのは難しいですよね。
また、予防は漠然としたテーマでもあり、
一般的に考える“予防”と、私たち鍼灸院が考える“予防”とでは、少し感覚が違う部分もあるかもしれません。
最近疲れが抜けにくいと感じたり、なんとなく前より無理がきかなくなったと感じることはないでしょうか?
そんな小さな変化に心当たりがある方は、もしかすると今が“予防していくタイミング”なのかもしれません。
鍼灸が得意とする“予防”のかたち
予防と聞くと、風邪をひかないように手洗いうがいをしたり、病気にならないよう食事や睡眠に
気をつけたりすることを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
鍼灸の現場で考えている「予防」は、そうした一般的なイメージよりも少し広いものです。
何か症状が出る“その手前”の段階から整えていくこと。
つまり、まずは体の“土台”や“環境”を整えておく、という考え方です。
この“土台”や“環境”というのは、例えばこんな部分です。
・血流や自律神経のバランス
・筋肉の使い方や偏り
・内臓の働き
・粘膜などのバリア機能
こうした部分は、普段あまり意識することがないかもしれません。
ですが実は、こういった土台が少しずつ崩れていくことで、不調はじわじわと現れてきます。
逆に言えば、この土台を整えておくことが、日々を心地よく過ごす助けになると考えています。
そして、この“整える”という考え方は、鍼灸でも大切にしていることのひとつです。
以前、保険診療について書いたブログでも少し触れましたが、
鍼灸では「今困っている症状」だけでなく、「これから先の不調」も見据えながら、身体全体を整えていくことを大切にしています。
その時々の体調に合わせて施術を行いながら、全身の巡りや筋肉のバランスを整え、“なんとなく調子がいいな”と感じられる状態を少しずつ目指していきます。
そうした積み重ねが、日々の健康維持にもつながっていくと考えているからこそ、普段から予防の大切さをお伝えしたいと思っています。
花粉症対策は体づくりから
春の時期は、花粉症で悩まれる方が本当に多いですね。
症状が出ると、「何が原因なんだろう」とアレルゲンや花粉の種類に意識が向きがちです。
ただ、それと同じくらい大切だと思っているのが、「体がどういう状態でそれを受けているか」という考え方です。
例えば、鼻や喉は“粘膜”で覆われています。
少しゼリーのような、水分を含んだ膜をイメージしてみてください。適度に水分を含み、しっかり潤った状態でいることで、外から入ってくる刺激や異物を防ぐ“バリア”の役割をしています。
しかし、この粘膜が乾燥しているとバリア機能は弱くなってしまい、ちょっとした刺激にも反応しやすくなってしまいます。
実際、アレルギー検査では異常がなくても、鼻水や咳が続く方は少なくありません。
そういった方ほど、“粘膜が乾いているような状態”の印象があります。
アレルゲンの有無に関わらず症状が出ている方でも、体の状態を整えていくことが日々のコンディションを見直すきっかけになることもあります。
だからこそ、外からの原因を避けるだけでなく、自分の身体を整えておくことも大切だと思っています。
“なんとなく調子がいい”も大切なサイン
では、体の土台が整ってくると、どんな変化が起きるのでしょうか。
患者さんからは、実際にこんなお声をいただくことがあります。
「歯ぐきの調子が良くなった」
「唾液が出やすくなった」
「お腹が動くようになった」
「よく眠れるようになった」
「なんとなく体が軽い」
一見バラバラな変化に見えますが、どれも身体が整ってきたサインのひとつなのかなと感じています。
中でも印象的だったのは「歯ぐきの調子が良くなった」というお声です。
「疲れると歯が浮く感じがする」という言葉、聞いたことありませんか?
特に年齢を重ねると、歯ぐきは体調の変化が出やすい部分です。歯ぐきは“土壌”のようなもので、畑の土の状態が悪いと作物が育たないように、土台となる環境が整っていないと、その上にあるものもうまく保てません。
だから「歯ぐきの調子が良くなった」と感じられるほど変化が出るということは、それだけ身体の土台が整ってきているサインなのだと思います。
不調は軽いうちほど整えやすい
とはいえ、今まさに花粉症でつらい方は、「体を整えましょう」と言われてもそれどころじゃないですよね。
病院や薬に頼りながら、まずは今のつらさを楽にしてあげることを優先していいと思います。
ただ、その一方で、本当の意味での“体づくり”を、少し症状が落ち着いたタイミングで見直していってほしいなとも思います。
例えば、軽い違和感の段階であれば、鼻うがいをするだけでもすっきりすることがあります。
症状がまだ浅いうち、軽いうちというのは、それだけ“ちょっとしたケア”が効きやすい状態でもあります。小さな火ならすぐ消せても、大きく燃え広がってしまえば簡単には消せないのと同じで、体の不調も軽いうちほど整えやすいものです。
だからこそ、そういった小さなケアが効くうちに手をかけてあげることを、少し意識してもらえたら嬉しいですね。
予防というのは「やったから防げたのか」「やらなかったらどうなっていたのか」を比べることができません。
効果も実感しにくいため、どうしても後回しになりがちです。
だからこそ、まずは「なんとなくいつもと違うな」といった小さな違和感に気づくことが大切です。
大きな不調は、少しずつ積み重なって現れてくることがほとんどです。
“まだ大丈夫”と思える段階、いわゆる“未病”のうちに整えていくことが、将来の不調に備えることにも役立ちます。
そして、体を整えることは未来のためだけではありません。
朝起きやすくなったり、集中力が続いたりと、日々をより心地よく過ごすことにもつながるかもしれません。
“何もない今”だからこそ、少しだけでも予防を意識してみてもらえたら嬉しいです。
以前のブログも参考にぜひご覧ください
【前編】「知っておきたい医療のカタチ」〜保険診療と自由診療ってどう違う?〜
【後編】「自分の健康を守る」という視点から、鍼灸の活用を考える