ヘルニアをきっかけに考えたい、その後の身体との付き合い方【前編】
名古屋・伏見エリアの鍼・灸・指圧の治療院『Lighpe(ライペ)』です。
当院には、肩こりや腰痛、膝の痛み、五十肩など、さまざまなお悩みを抱えた方が来院されます。
症状は本当に人それぞれですが、多くの方が「どうしたらこの症状が良くなるだろう」と考える一方で、「良くなった後、自分の身体とどう付き合っていくか」ということは、意外と考える機会が少ないように感じています。
もちろん、痛みや不調があれば、まずはそこを何とかしたいと思うのは自然なことですね。
ただ、身体のことを長い目で考えると、症状が落ち着いた後の過ごし方も同じくらい大切なのではないかと思っています。
今回は、腰痛の一種である「椎間板ヘルニア」を例に、お話ししてみたいと思います。
ヘルニアに限らず、身体の不調や手術を経験したとき、その後の身体とどう付き合っていくかについても、一緒に考えてみたいと思います。
まずは知っておきたい、今の椎間板ヘルニア治療
ヘルニアとは、体内の臓器や組織が本来あるべき場所から飛び出した状態の総称で、椎間板ヘルニアは、腰の骨と骨の間にあるクッションのような役割をしている「椎間板」が飛び出し、神経に触れることで痛みやしびれなどが現れる状態です。
長時間座り続けたり、重い物を持ったりするほか、日常の姿勢や仕事、スポーツなどによって身体への負担が積み重なることで起こることがあります。
椎間板ヘルニアと聞くと、「手術が必要なのでは?」と不安になる方が多いかもしれません。ですが現在は、椎間板ヘルニアと診断されたからといって、すぐに手術を選ぶケースばかりではありません。
身体の免疫反応によって、飛び出した部分が時間の経過とともに自然に小さくなり、症状が落ち着いていくケースもあるとされているため、まずは経過をみながら治療を進めていくことも多くなっています。
また、ヘルニアの大きさと症状の強さが必ずしも一致するわけではありません。MRIで大きなヘルニアが見つかっても症状が軽い方もいれば、それほど大きくなくても強い痛みやしびれが出る方もいます。
そのため現在は、画像だけで判断するのではなく、症状や身体全体の状態をみながら治療方針を考えることが大切だとされています。
もちろん、足に力が入りにくい、排尿しづらい、強い麻痺がある、などの危険サインが見られる場合には、早めの整形外科受診や手術が必要になることもあります。
ただ、現在は整形外科でも「椎間板ヘルニア=すぐ手術」という時代ではなくなってきています。
身体は少しずつ変わっていくものです
椎間板ヘルニアの治療については、「手術が良い」「保存療法が良い」と単純に言えるものではありません。
身体の状態や症状の程度、その方の生活環境によっても考え方は変わってきます。
ただ、不安なときほど、ついインターネットでいろいろ調べてしまうものです。
今はたくさんの情報に触れられる便利な時代ですが、身体のことは専門的な内容も多く、人によって状態や経過も異なります。
そのため、たくさん調べているうちに「結局、自分はどうなんだろう」と分からなくなってしまうこともあるかもしれません。
また、治療の経過についても、ご本人が感じる時間と、私たちがみている回復のペースには少し違いがあることがあります。
「まだ良くならないな」と感じる時期でも、身体の回復の流れとしては少しずつ変化していることがあります。
椎間板ヘルニアに限らず、身体が変わっていくにはどうしても時間が必要です。
そのため、思うような変化が感じられない時期があっても、焦りすぎないことも大切なのではないかと思います。
不安が強くなるほど、ついあれこれ調べてしまいますが、そんな時こそ大切なのは、今の自分の身体の状態をきちんと理解することなのかもしれません。
治療の先にある身体づくり
これまでライぺにいらっしゃる方やそのお知り合い、たまたま人から聞いたお話などで、手術を受けた後のお話もたくさん聞いてきました。
日常生活に支障をきたす程つらかった症状が、手術によって改善し、動きやすくなったり、気持ちが楽になったりする方もたくさんいらっしゃいます。
それはとても喜ばしいことですし、手術の大きな意義のひとつだと思います。
ただ、その一方で、手術によって神経への圧迫が改善したとしても、普段の姿勢や身体の使い方、生活習慣までが自然に変わるわけではありません。
私は、症状が落ち着いてからが本当のスタートだと思っています。
手術や治療によって症状が改善すると、まずはホッとしますよね。でも、その先も身体との付き合いは続いていきます。
痛みや不調が起きる背景には、それまでの身体の使い方や生活習慣が関係していることも少なくありません。
それを理解し、その後も自分の身体と向き合いながら、身体にとって良い付き合い方を続けていくことが大切です。
そのため、手術後のリハビリや身体づくりもとても大切です。
とはいえ、いろいろな方のお話を伺っていると、痛みが落ち着いて安心したり、忙しい毎日の中で後回しになったりして、リハビリがなかなか続かないこともあるようです。
その気持ちもよく分かります。ただ、身体はすぐには変わりません。
だからこそ、必要なところに筋肉をつけたり、関節の柔軟性をつけたりすることを目的に少しずつ身体を動かしながら、自分のペースで身体を整えていく時間も大切なのだと思います。
手術や治療をきっかけに、今までの姿勢や身体の使い方、日常の過ごし方を振り返り、できることから少しずつ見直していく。
そうすることで、身体への負担を減らしたり、腰をかばうことで股関節や膝など別の場所に負担が集中することを避けやすくなったりすると思います。
すぐに大きな変化が出るものではないかもしれませんが、そうした小さな積み重ねが、これから先も元気に身体を使っていくための、土台になってくれるのではないでしょうか。
そしてこれは、椎間板ヘルニアだけのお話ではありません。肩の痛みや膝の不調、手術後のリハビリなど、さまざまな症状に共通していることだと思います。
症状をきっかけに自分の身体に目を向け、その後どう付き合っていくかを考える時間は、もう一度同じようなつらさを抱えないためにも大切なのではないでしょうか。
私も、みなさんと一緒に身体のことを考えていけたらうれしく思います。
椎間板ヘルニアに限らず、病気や痛みの症状は不安なものです。
でも、そうした出来事をきっかけに、自分の身体のことを知ったり、これからの身体との付き合い方を見つめ直したりすることもできるのではないかと思います。
後編では、症状が落ち着いた後の身体づくりや、鍼灸院としてお手伝いできることについて、もう少し詳しくお話ししていきたいと思います。